妊活を始めてこれまで以上に食事に気を配るようになると、「鉄分もとったほうがいいのかな」「最近疲れやすいけど貧血かも?」と気になることがありますよね。
妊活中は通院や仕事などで忙しい日もあるため、まずは普段の食事から、無理なく鉄を取り入れる方法を考えてみましょう。
妊活中の鉄分対策は、妊娠しやすい体をつくるための特別な食事というより、今の自分の健康状態を見直し、鉄不足に気づくための取り組みです。すでに貧血がある場合は、食事だけでなく原因を調べて必要な治療を受けることも大切です。
この記事では、妊活中に鉄を意識したい理由から、鉄を含む食材や献立の選び方、効率よく摂るための工夫まで紹介します。
サプリや受診についても確認しながら、今の生活に取り入れやすい方法を見つけていきましょう。
妊活中の鉄分について知っておきたいこと
忙しい日が続くと、食事が簡単になり「鉄分は足りているかな?」と気になることがあります。
鉄は、血液中で酸素を運ぶ働きに関わる大切な栄養素です。月経がある場合は、出血によって鉄が失われるため、普段の食事から意識して摂ることがポイントです。
妊活中は食事を見直したり、妊娠前の健康状態を確認したりするよい機会でもあります。
ここでは、鉄分を意識したい理由と、毎日の食事での摂り方を見ていきましょう。気になる症状がある場合は、食事だけで解決しようとせず、医療機関への相談も検討してください。
月経で失われる鉄を補う
鉄は、赤血球の中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」の材料です。そのため鉄が不足してヘモグロビンが減ると、鉄欠乏性貧血につながります。
貧血になると息切れや疲れやすさなどがみられることもありますが、症状をほとんど感じない場合もあります。
月経のある女性は、出血によって鉄を失うため、食事から補うことが大切です。とくに経血量が多い方は、鉄不足になりやすい可能性があります。食事内容だけでなく、普段の月経の量や期間にも目を向けてみましょう。
「生理中はいつもつらいから」と、体調の変化を当たり前のこととして我慢する必要はありません。
出血が長引いたり、以前より量が増えたりした場合は、医療機関の受診も検討しましょう。
妊娠前に自分の健康状態を確認する
国立成育医療研究センターのプレコンチェックでも、妊娠前から確認しておきたい健康項目の一つとして、貧血の検査が挙げられています。
妊娠すると鉄の必要量が増え、貧血になりやすくなるため、妊娠前に今の健康状態を知っておくことは重要です。
鉄不足が気になる場合は、食事だけでなく検査や医療機関への相談も選択肢になります。
不妊治療で通院している方は、職場の健診結果などを持参すると、最近受けた検査の内容を確認してもらいやすくなります。
採卵などの治療を予定している場合も、貧血を指摘されたことや服用中の鉄剤があれば、受診先に伝えておきましょう。
一日に必要な量の目安
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では、妊娠していない月経のある女性の鉄の推奨量を、18〜29歳は1日10.0mg、30〜49歳は10.5mgとしています。同じ年齢でも、月経がない場合の推奨量は6.0mgです。
この推奨量は、健康な人が普段の食事を考えるための目安です。貧血の治療に必要な量や、食事に加えてサプリメントから摂る量とは異なるため、まずは毎日の食事を振り返る際の参考にしましょう。
また、妊娠中には、妊娠週数に応じた付加量が設定されています。妊娠が分かったときや月経の状況が変わったときは、自己判断で摂取量を大きく増やすのではなく、医師や管理栄養士に必要な量を確認しましょう。
鉄分をとりやすい食材と献立
鉄分を増やしたいと思っても、毎日鉄分を意識した献立を考えて、料理を用意するのは大変です。
肉や魚、貝、豆、青菜など、普段の買い物で選びやすい食材から取り入れてみてください。主菜に鉄を含む食品を一つ加えたり、野菜や果物を組み合わせたりすると、献立を整えやすくなります。
ここでは、鉄を含む食材の特徴や吸収を助ける組み合わせ、忙しい日の献立と保存の工夫を紹介します。家族の好みや予算も考慮しながら、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。
肉・魚・貝・豆・青菜を選ぶ
食品中の鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜や大豆製品などに含まれる非ヘム鉄があります。厚生労働省e-ヘルスネット「鉄」によると、ヘム鉄は非ヘム鉄より吸収されやすい性質があります。
ただし、吸収されやすさだけを考えて、肉ばかりにする必要はありません。赤身の肉や魚を主菜にし、小松菜などの副菜を添えれば、さまざまな食品から鉄を摂れます。
また、肉や魚を食べない日には、納豆や厚揚げなどの大豆製品を取り入れるのもおすすめです。
| 食材の例 | 献立への取り入れ方 |
|---|---|
| 牛赤身肉 | 野菜炒め、丼もの、煮物にする |
| かつお・いわし | 刺身、たたき、焼き魚、煮付けにする |
| あさり・しじみ | みそ汁、スープ、酒蒸しにする |
| 納豆・厚揚げ・大豆製品 | 朝食の一品、野菜との炒め物や煮物にする |
| 小松菜・ほうれん草 | おひたし、みそ汁、卵炒めの具にする |
同じ食品でも、部位や調理法によって鉄の含有量は変わります。
「100g当たりの鉄が多い食品」だけで順位をつけるのではなく、実際に一食で食べる量や、普段の食事に取り入れやすいかどうかも考えてみましょう。
たとえば、乾物は100g当たりの鉄が多くても、実際の一食で100gを食べることはあまりありません。一方、納豆なら1パックを食卓に簡単に取り入れることができます。
一品ですべてを補おうとせず、主菜と副菜を組み合わせながら、普段の食事に少しずつ取り入れると続けやすくなります。
鉄を効率よく摂る組み合わせと食材選びの注意
厚生労働省eJIMのビタミンCの解説では、ビタミンCが植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収を助けると説明されています。
小松菜のおかずに果物を添える、豆のサラダにブロッコリーを加えるなど、普段の食事で組み合わせてみましょう。厚揚げにピーマンを合わせたり、納豆ごはんのあとにいちごなどの果物を食べたりする方法もあります。
一方、鉄が豊富な食材の中には、摂り方に注意したいものもあります。
レバーは鉄を多く含みますが、鶏・豚のレバーにはビタミンAも多く含まれます。
ビタミンAは妊娠中に摂りすぎると胎児への影響が心配されるため、食品安全委員会の妊娠前からの食生活案内では、妊娠を希望する女性にサプリメントなどに含まれるビタミンAの量を確認するよう案内しています。また、妊娠中は鶏・豚のレバーをなるべく控えるようすすめています。
妊娠に気づく前の時期もあるため、「鉄のためにレバーを毎日たくさん食べる」という方法は避け、赤身肉や魚、大豆製品などから分けて摂るとよいでしょう。
なお、野菜に含まれるβ-カロテンなどは体内でビタミンAに変わりますが、レバーやサプリメントに含まれるビタミンAと同じように考える必要はありません。
食べられるものを減らしすぎず、いろいろな食材を組み合わせることを意識し、さまざまな食材から鉄を摂ることを意識してみてください。
忙しい日の献立と保存の工夫
忙しい日は、いつもの食事を丸ごと変える必要はありません。
朝食がパンとコーヒーだけなら前日の青菜入りスープを添える、昼は肉や豆腐が入った料理を選ぶ、夕食は魚の缶詰と冷凍野菜で一品作るなど、一食ずつ考えてみましょう。
献立の例なら、朝は納豆ごはんと小松菜のみそ汁、昼は牛肉と野菜の丼ぶり、夜はいわし缶とトマトの煮物などがあります。これだけで一日の必要量を満たせるわけではありませんが、鉄を含む食品を分けて取り入れるヒントになります。
鉄だけを増やそうとして食事全体を減らすと、エネルギーやほかの栄養素が不足することもあります。主食・主菜・副菜を基本に、食事全体のバランスを考えましょう。
また、忙しい日に備えて、調理できる日にまとめて下処理をしたり、作り置きをしておいて一食分ずつ保存しておく方法もあります。帰宅後は温めるだけで一品用意できるため、調理の負担を減らせます。
厚生労働省の「家庭での食中毒予防」を参考に、清潔な容器を使い、料理を室温で長く放置せず、小分けにして早く冷やします。日付を記入し、早めに食べ切ることも意識しましょう。
→妊活中の作り置きと冷凍保存については、こちらの記事も参考にしてみてください。

通院日など調理が難しい日は、缶詰・冷凍野菜・納豆や市販のおかずを活用する方法もあります。肉や魚のおかずに青菜の小鉢を組み合わせるなど、足りない一品を選ぶだけでも十分です。
このように、毎日の食事を大きく変えなくても、作り置きや保存食品、市販のおかずなどを上手に使えば、忙しい日にも鉄を含む食品を取り入れやすくなります。
無理なく続けられる方法を、自分の生活に合わせて取り入れてみましょう。
貧血の検査とサプリの注意
疲れやすさや息切れが気になると、「食事やサプリで何とかしたい」と思うかもしれません。
鉄分を含む食事は大切ですが、貧血の原因や程度は症状だけでは分からず、検査で確認する必要があります。
ここでは、血液検査で確認すること、治療に使われる鉄剤、サプリメントを選ぶ際の注意点を紹介します。食事だけで対処しようとせず、今の体の状態に合わせて必要な対応を考えていきましょう。
症状があれば血液検査を
疲れやすい、息切れがする、動悸がするなどの症状が続いている場合は、食事の見直しだけで様子を見ず、貧血が隠れていないか医療機関で調べてもらいましょう。
貧血は症状だけでは判断できず、血液検査で確認することが基本です。月経量が多い場合は鉄が不足している可能性もあるため、受診時に伝えてください。
血液検査では、赤血球やヘモグロビン(Hb)の量などを確認します。必要に応じて、体内に蓄えられている鉄の状態をみるフェリチンなどを調べ、鉄不足が関係しているか確認することもあります。
受診するときは、健診結果やお薬手帳、使っているサプリメント、月経の日数や量の変化なども伝えると、状況を把握してもらいやすくなります。
妊娠を希望していることも伝えたうえで、内科や婦人科、不妊治療で通院中の方はその施設で相談してください。
貧血の原因は鉄不足だけではありません。出血やほかの病気が関係していることもあるため、検査結果を自己判断せず、医師に確認してもらいましょう。
鉄剤は処方どおりに使う
鉄欠乏性貧血と診断された場合は、鉄を補う治療とあわせて、鉄が不足した原因への対応も必要です。慶應義塾大学病院の解説でも、鉄剤と原因の治療を基本としています。
食事だけで必要な鉄を補おうとせず、受診先の方針に沿って治療を進めましょう。
鉄剤を飲むと、吐き気や便秘などの症状が出ることがあります。
飲みづらいときは自己判断で中止せず、いつ、どのような症状が出るのかを医師や薬剤師に伝えてください。飲み方や薬の変更などを相談できます。
また、妊娠を希望している場合、妊娠が分かった場合も、処方された鉄剤を自己判断で中止するのは避けてください。
主治医に相談をし、薬を続けるかどうかや薬の種類を変えるかどうかなど、判断をあおいでください。
サプリは成分と量を確認する
妊活向けの葉酸サプリには、鉄やビタミンAなどを一緒に含む商品があります。
鉄サプリを追加する前に、今使っている製品の「1日目安量当たり」の成分表示を確認し、鉄の量が重なっていないかチェックしましょう。
サプリメントは、たくさん摂ればよいというものではありません。鉄を過剰に摂ると、胃腸の不調などにつながることがあります。
薬を服用している方や、検査で鉄不足を指摘されている方は、商品名や摂取量を医師・薬剤師に伝えてから使用するのが安心です。
妊活中だからといって全員に鉄サプリが必要なわけではありません。
葉酸など別の目的で使っているサプリも含め、手元の製品を確認し、食事や検査結果に合わせて必要なものを選びましょう。
まとめ
妊活中の鉄分は、妊娠の結果を左右するためのものではなく、毎日の健康を支える栄養素の一つです。
月経のある方は失われる鉄も意識し、肉や魚、貝、豆、青菜など、普段の食事に取り入れやすい食材から摂ることを心がけてください。
非ヘム鉄は、ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせることで吸収を助けられます。特定の食材に偏らず、さまざまな食品から鉄を摂ることも意識しましょう。
忙しい日は冷凍野菜や缶詰を活用し、作り置きや保存の際は衛生面にも気を配ると安心です。
疲れやすさや息切れ、月経量の多さが気になるなど症状がある場合は、食事やサプリだけで様子を見続けず、医療機関への相談を検討してください。
検査で原因を確認し、鉄剤が処方された場合は自己判断で中止せず、服用方法や期間を確認します。サプリメントも、ほかの製品や薬との成分の重複を確認し、自分に必要な量を考えて選ぶことが大切です。
Fertility Journey(ふぇるじゃに)は妊活に取り組む方のためのサイトです。妊活に関するさまざまな情報をお伝えしていますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
