妊活を始めると、どうしても女性側の検査や通院に意識が向きがちです。しかし、不妊の原因は男性側にも関係していることがあり、妊活を進めるうえで男性の検査も大切なステップのひとつです。
とはいえ、「いきなりクリニックを受診するのは少しハードルが高い」「まずは自分で調べてみたい」と感じる方もいるでしょう。
最近は、自宅で精子の濃度や運動性を手軽にチェックできる精液検査キットが増えており、ドラッグストアやオンラインショップで購入できる商品もあります。
この記事では、自宅でできる精液検査キットの種類や選び方、病院で行う検査との違い、結果の見方、検査後に取り組みたい男性妊活についてわかりやすく解説します。
男性妊活の第一歩として、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ男性も精液検査が必要?市販キットでわかること
妊活というと女性が主体のように思われがちですが、それは少しもったいない誤解です。
WHO(世界保健機関)によると、不妊の原因のおよそ半分は男性側にあるとされています。
まずは、なぜ男性も検査を受けたほうがよいのか、そして市販キットでどのようなことがわかるのかを見ていきましょう。
「現状を知ること」から、夫婦の妊活は始まります。
不妊原因の約半分は男性側にある
男性不妊の原因は、精子をつくる機能の問題や精子の通り道の問題、勃起や射精の問題などさまざまです。
こうした原因は日常生活のなかでは気づきにくいもので、実際に、検査を受けてはじめて課題が見つかる方も少なくありません。
精子の状態は、見た目や体力、ふだんの元気さからは判断できないものです。だからこそ、思い込みで決めつけず、一度しっかり調べてみることに意味があります。
早めに現状を知ることで、夫婦で選べる対応の幅も広がります。そのため、女性側の検査だけでなく、男性側の状況も早めに把握しておくことが大切です。
「自分は大丈夫」と思い込まず、まずは現状を知ることから始めてみましょう。
自宅キットは受診のハードルを下げる入口
妊活では、まず自分たちの現状を知ることが重要です。男性側の状態を把握しておくと、夫婦で取り組むべき課題が見えやすくなります。
その結果、必要な検査や治療を検討しやすくなり、遠回りを減らすことにもつながるでしょう。
とはいえ、「いきなり病院を受診するのは気が引ける」「まずは自分で確認してみたい」と感じる方も少なくありません。
そんな方にとって、自宅でできる精液検査キットは心強い選択肢のひとつです。
まずは自宅キットで状態を確認し、必要に応じてクリニックへ相談する流れであれば、男性妊活の第一歩も踏み出しやすくなります。
「いきなり病院は気が引ける」という方にとって、自宅でできる精液検査キットは心強い味方です。
市販キットの主なタイプ
市販されている精液検査キットは、大きく分けて2つのタイプがあります。
ひとつは、スマートフォンと連動する簡易キット型です。
自宅で採取した精液を専用キットにセットし、スマートフォンのカメラと連動させることで、運動精子濃度の目安をその場で確認できます。
結果が比較的早くわかるため、気軽に試しやすいのが特徴です。
もうひとつは、採取した精液を専用容器で郵送し、検査機関で分析してもらう郵送検査型です。
製品によっては、精子濃度に加えて形態率など、より詳しい項目を確認できるものもあります。
精液検査キット タイプ別の特徴
| タイプ | 結果が出るまで | わかる項目 |
|---|---|---|
| スマホ簡易キット | 10〜30分 | 運動精子濃度(おおよそ) |
| 郵送検査キット | 1〜2週間 | 精子濃度・形態率(製品による) |
| 病院検査 | 当日〜1週間 | 濃度・運動率・形態率・正常形態率など |
どちらにも特徴があるため、知りたい内容や使いやすさに合わせて選ぶとよいでしょう。必要に応じて、病院での精液検査も検討してみてください。
自宅キットと病院検査の違い・結果の読み方
「自宅で検査できるなら、自宅キットだけで十分なのかな」と気になる方も、いるかもしれません。
結論からいえば、自宅キットと病院検査では、わかる項目や測定の精度の面で大きな違いがあります。
とはいえ、どちらが優れているということではなく、それぞれに役割があると考えるのがよいでしょう。
あわせて、結果を読み解くうえで欠かせない、WHO(世界保健機関)の基準値についても整理していきます。
数値の意味をあらかじめ知っておくと、結果が出たときに不安で振り回されずにすみます。
わかる項目と運動率の正確さの違い
病院での精液検査では、精液量・精子濃度・運動率・形態率・正常形態率などを総合的に評価します。
一方、自宅キットの多くは、「運動精子濃度」など一部の項目を確認するものです。そのため、病院検査と比べると、得られる情報にはどうしても差があります。
また、精子の運動率は採取後1時間以内に測定する必要があるとされており、郵送検査では測定対象外となることも少なくありません。
スマホ簡易キットも便利な反面、医療機関で行う検査とは測定方法や精度が異なります。
自宅キットは、医学的な診断を行うものではありません。まずは現状を知るための入口として活用するようにしましょう。
WHO第6版の基準値を知っておく
検査キットや病院検査の結果を見るときに、知っておきたいのがWHOの基準値です。
2021年に改訂されたWHOマニュアル第6版では、精液量1.4ml以上、精子濃度1,600万個/ml以上、前進運動率30%以上、総運動率42%以上、正常形態率4%以上などがひとつの目安とされています。(WHO ヒト精液検査マニュアル第6版)
ただし、この数値を見るときに気をつけたいポイントがあります。
これは「合格ライン」ではなく、自然妊娠した男性の下位5%にあたる数値をもとに設定された基準値だということです。
基準値を上回っていても妊娠が保証されるわけではなく、下回っていたとしても自然妊娠の可能性がなくなるわけではありません。
検査結果は一喜一憂せず、ひとつの目安として受け止めることが大切です。
数字の意味を正しく知っておくと、結果を冷静に受け止めやすくなります。
「下位5%」を取り違えず、1回の検査で判断しない
検査の結果、WHOの基準値を超えていても、それだけで妊娠が約束されるわけではありません。
逆に基準を下回っていても、ほかの項目が良好であれば、自然妊娠の可能性は残るとされています。
また、日本人男性のおよそ半数が、いずれかの項目で基準値を下回っているとの報告もあり、決して珍しいことではありません。一つの数値だけで一喜一憂せず、全体のバランスを見ることが大切です。
さらに、精子の状態は体調や生活リズムによって日々変動します。
そのため、1回の結果だけで判断せず、1〜2か月の間隔をおいて2〜3回検査を受けることが推奨されています。
生活習慣を整えることで数値が改善するケースも少なくないため、一度の数値が低かったとしても、それだけで結論を出す必要はありません。
焦らず、長い目で向き合い、まずは数か月単位で体を整えながら、落ち着いて経過を見守っていきましょう。
検査後にできる男性妊活の取り組み
検査結果が出たら、次はその結果を毎日の生活に活かしていきましょう。
精子はおよそ3か月かけてつくられるため、今日からの習慣が数か月後の状態につながると考えられています。
つまり、生活習慣を見直すことで、今後の精子の状態によい影響が期待できる可能性があるのです。
日々の食事や睡眠、ストレスとの付き合い方などが、精子の状態に関係することも少しずつわかってきています。
ここからは、食生活・睡眠やストレス・EDの相談という3つの視点で、取り組みのポイントを紹介します。
食生活を見直す
精子の生成や運動性には、毎日の食事が深く関わっていると考えられています。
亜鉛、葉酸、ビタミンE、オメガ3脂肪酸などの栄養素を意識して摂ることが大切です。
たとえば、牡蠣やレバーには亜鉛が豊富に含まれており、青魚からはオメガ3脂肪酸を摂ることができます。
また、緑黄色野菜や果物は、葉酸やビタミンEを補うのに役立ちます。
これらの栄養素は、精子の状態を支えるための土台となります。特定の食品に偏らず、さまざまな食材を組み合わせながら摂るようにしましょう。
まずは普段の食事に、こうした食材を少しずつ取り入れていくのがおすすめです。
→精子に良い食べ物については、こちらの記事もチェックしてみてください

食事は毎日の積み重ねだからこそ、無理なく続けることが大切です。
ストレス・睡眠を整える
睡眠不足や慢性的なストレスは、精子の状態に影響を与える要因のひとつとされています。そのため、食事だけでなく、日々の生活リズムを整えることも大切です。
仕事の忙しさや人間関係のストレスとどう向き合うかは、長期戦になりがちな妊活において欠かせないテーマといえるでしょう。
まずは、7〜8時間程度の睡眠を確保することを目標にしてみてください。
また、自分なりのリラックス方法を見つけておくと、心にも少し余裕が生まれやすくなります。
軽い運動や入浴で体を温めることは、睡眠の質を整える助けになります。寝る前にスマートフォンを見る時間を少し減らすだけでも、寝つきが変わることがあります。
すぐに大きな変化を目指す必要はありません。まずは続けやすいことから取り入れ、無理のないペースで習慣化していきましょう。
EDなどの悩みは早めに相談する
妊活がプレッシャーとなり、勃起や射精のタイミングがうまく合わないと感じる方も少なくありません。
特に、排卵日に合わせて性交渉を行うタイミング法では、「うまくいかなければ」という気持ちが負担となり、思うようにいかなくなることもあります。
こうした悩みは決して珍しいものではなく、一人で抱え込む必要はありません。
また、ED(勃起不全)や射精障害の背景には、ストレスや疲労だけでなく、病気や服用中の薬などが関係している場合もあります。
そのため、気になる症状がある場合は、早めに専門医へ相談することが大切です。原因がわかることで気持ちが楽になったり、適切な治療やサポートにつながったりすることもあります。
→妊活中のEDの原因と対策については、こちらの記事もチェックしてみてください

妊活を遠回りさせないためにも、一人で悩み続けず、必要に応じて専門家の力を借りましょう。夫婦で気持ちを共有しながら、無理のないペースで進めていけるといいですね。
まとめ
市販の精液検査キットは、男性が妊活の第一歩を踏み出すための手軽で便利なツールです。
スマホ連動タイプなら比較的すぐに結果を確認でき、郵送検査タイプならより詳しいデータを知ることができます。
ただし、自宅キットはあくまで現状を知るための入口であり、詳しい評価や医学的な判断には医療機関での検査が必要です。
また、WHO基準は「合格ライン」ではなく、あくまでひとつの目安であることも知っておきましょう。
検査結果に一喜一憂するのではなく、食生活や睡眠などの生活習慣を見直したり、夫婦で今後の妊活について話し合ったりするきっかけとして活用することが大切です。
気になる結果が出た場合や、妊活が長引いている場合は、男性不妊を専門とする医療機関への相談も検討してみてください。
まずは自分の状態を知ることから。そこから夫婦で取り組めることが見えてくるはずです。
Fertility Journey(ふぇるじゃに)は妊活に取り組む方のためのサイトです。妊活に関するさまざまな情報をお伝えしていますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
