妊活中の気分転換に、ヨガを始めてみたい。そう思っても、体の硬さや治療への影響が気になり、何から試せばよいか迷う方もいるでしょう。
ヨガは、ゆっくり体を動かしながら呼吸に意識を向ける方法の一つです。
ストレスへの対処などに役立つ可能性はありますが、特定のポーズで妊娠率が上がると約束できるものではありません。体調管理や気分転換として、自分に合う取り入れ方を探してみましょう。
この記事では、初心者が試しやすい呼吸とポーズ、教室や動画の選び方、治療中に確認したい注意点を紹介します。床に座るのが難しい方も、椅子でできる動きから見ていくとよいでしょう。
妊活ヨガの取り入れ方
ヨガは椅子に座って呼吸を整えるものから、運動量の多いものまで、幅広くあります。
始めるときは名前や難易度だけでなく、実際にどんな動きをするかも確かめましょう。特に、不妊治療中は薬や処置の予定によって、運動の注意点が変わります。
ここでは、ヨガに期待できること、通院先に確認したいこと、自宅での準備を紹介します。今の体調で無理なく取り組める方法を選んでみてください。
体と気分をほぐす時間に
妊活中にヨガを取り入れるなら、体を動かす心地よさや、気分を切り替える時間として考えるとよいでしょう。
厚生労働省eJIMでは、ヨガがストレスへの対処や心身の健康に役立つ可能性を紹介しています。ただし、研究によって対象者やヨガの内容は異なり、どの方法でも同じ変化が得られるという結果を示しているわけではありません。
例えば、仕事で同じ姿勢が続いたあとに胸を穏やかに開く、就寝前にスマートフォンを置いて呼吸を感じるなど、マットを広げて長く運動する以外にも、生活の中へ取り入れる方法もあります。
動き終えたあとには、呼吸が楽か、体に痛みや強い疲れが残っていないかを確かめてみてください。「今日は肩が少し楽になった」など、自分が感じる日常の変化に目を向けられるとよいです。
また、気分が落ち着くことと、妊娠率が上がることは別です。「子宮の血流がよくなる」「ホルモンが整う」といった説明だけで、ヨガを治療の代わりにすることはできません。
続けられなかった日があっても、妊活への努力が足りないと考える必要はありません。
体調と治療の予定を確かめる
不妊治療中は、その周期の卵巣の状態や処置の予定に合わせて、通院先に運動の注意点を確認しておきましょう。
特に、排卵誘発の薬を使う時期や採卵の前後は、具体的な運動の内容を伝え、どの程度の運動をしてもよいか、聞いておくと安心です。
はらメディカルクリニックは、採卵当日の激しい運動や湯船につかることを控えるよう案内しています。これは同院の採卵後の説明であり、すべての人に「何日休めば再開できる」と当てはめるものではありません。
ヨガについて相談するときは、「四つん這いで背中を丸める」「強くひねる動きがある」など詳細に伝えるか、動画の該当部分を見てもらうのも方法です。行ってもよい動き、避けたい動き、再開する時期を分けて聞くと、日々の予定にも反映しやすくなります。
月経中でも、体調がよければできることはあります。ただ、出血量が多い日や腹痛、だるさが強い日は休んで構いません。痛みを和らげようと無理に伸ばすより、まず楽に過ごすことを考えましょう。
動きやすい場所を用意する
自宅では、滑りにくい床やマットを選び、手足を伸ばして家具にぶつからない場所を確保します。
ヨガマットは必須ではありませんが、購入をする際は滑りにくさや、手首・膝への当たり方を確認しましょう。
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床でのポーズが難しければ、椅子に座って呼吸や肩まわりの動きからでも始められます。
椅子は車輪のない安定したものを使い、両足の裏が床につく高さを選びましょう。胸を開く動きをするときは、腕がぶつからないことも確認してください。締め付けの少ない服装を選び、暑くもなく寒くもない快適な気温の室内で行います。
動画を見る場合は、先に動きを確認し、途中で止められる位置に端末を置きます。姿勢をとったまま画面を見ようとして、首などを無理にひねらないように気をつけましょう。水分も手の届く所へ用意し、気分が悪いなど不調を感じるときは無理に始めない方がよいです。
初心者向けの呼吸とポーズ
ここでは、椅子での呼吸、胸を開くツルのポーズ、四つん這いで背中を動かす猫のポーズを紹介します。いずれも運動の制限を受けておらず、体調がよいときに試すための入門例です。
手首や膝に体重をかけるのが辛い方は、椅子での動きから選んでみましょう。見本と同じ形にするために、痛みを我慢する必要はありません。
不妊治療中の方は、以下の動きを通院先へ伝えたうえで取り入れてください。
椅子でゆっくり呼吸する

床に座るのが苦手な方は、椅子での呼吸から試してみましょう。運動着に着替えなくても、安定した椅子と落ち着ける場所があれば取り組めます。
椅子に座って両足の裏を床につけ、肩の力を抜きます。背もたれを使って構いません。お腹に軽く手を当てると、息に合わせた動きを感じやすいでしょう。服の締め付けで呼吸しづらいときは、楽にできる範囲で緩めてください。
口からゆっくり吐き、鼻から穏やかに吸ってみます。厚生労働省のHPでは、吐く息と吸う息に合わせてゆっくり数える腹式呼吸が紹介されています。お腹を大きく膨らませることより、苦しくならない呼吸を優先しましょう。
最初は数回だけでも構いません。めまいや息苦しさがあれば中止し、普段の呼吸へ戻しましょう。呼吸に集中するとかえって落ち着かない方は、別の休み方を選んでください。
胸を開くツルのポーズ

長時間座ったあとなど、凝り固まった肩や胸のまわりを動かしたいときは、椅子で胸を開く方法があります。厚生労働省「こころの耳」が紹介する「ツルのポーズ」を参考に、無理のない範囲で試してみましょう。
安定した椅子に座り、足裏を床につけます。背骨を楽に伸ばし、お尻の後ろでゆっくり手を組んでください。胸を少し開いて両肩を背中側へ寄せ、腕を斜め後ろ下へ穏やかに伸ばします。顔は、首に力が入りにくい向きへ向けましょう。
楽に呼吸できる範囲で姿勢を保ち、肩の力を抜いて手をほどきます。腕を高く上げるほどよいわけではありません。腰を大きく反らしたり、椅子が後ろへ傾くほど体重を移したりせず、安定した座り方を保ってください。
肩が痛む、後ろで手を組めないという方は、このポーズを省いて椅子での呼吸だけにしても大丈夫です。見本の形に近づけるために、腕を誰かに引いてもらう必要はありません。
動きを終えたら普段の姿勢に戻り、肩や首に違和感が残っていないかを確かめましょう。
背中を動かす猫のポーズ

猫のポーズは、四つん這いで背中を丸める動きです。ここでは腰を大きく反らすところまで行わず、小さく丸めて元の姿勢へ戻す入門例を紹介します。手首や膝に体重をかけるのが辛い方は、椅子での呼吸を選んでください。
滑りにくいマットの上で四つん這いになり、手を肩の下、膝を腰の下に置きます。首を持ち上げすぎず、床を見る楽な位置で姿勢を安定させましょう。呼吸を止めずに、背中をゆっくり天井の方へ丸め、頭は力を抜いて下げてください。
呼吸を止めず、ゆっくり元の四つん這いへ戻ります。お腹を強く落としたり、勢いをつけて何度も反らしたりせず、小さな動きで試しましょう。何回も繰り返すことより、手首や腰に痛みが出ないかを見てください。
膝が床に当たって気になる場合は、滑らないように折ったタオルを敷くのもよいでしょう。それでも痛いときや、お腹に張り・違和感があるときは、動きを省いてください。床からの立ち上がりが負担に感じるときは、椅子でできる方法を試してみましょう。
動きは、ヨガジャーナルオンライン公式の「猫のポーズ」動画でも確認できます。先に動画を見てから、無理のない範囲で試してください。妊活・不妊治療中の方に個別の安全性や効果を保証する動画ではありません。
無理なく続けるコツ
ヨガを続ける方法は、教室に通う、自宅で動画を見る、覚えた動きを短く行うなどさまざまです。通院や仕事の予定と合わせて、時間や運動量を選びましょう。
教室に通う場合は途中で休めるか、動画の場合は動作の説明が十分かについても確認しておくと、自分に合う内容を探しやすくなります。
ここでは、選び方と続け方に加え、中止した方がよい症状も紹介します。回数を増やすことより、終えたあとの体調を確かめながら取り入れてください。
初心者向けの教室・動画を選ぶ
教室を選ぶときは、担当者の指導経験、運動量、相談のしやすさを確認しましょう。「床の動きが難しいときに椅子へ替えられるか」「途中で休んでもよいか」を体験前に聞くと、自分に合うクラスを探しやすくなります。
治療中の方は、医師から控えるよう言われている動きを、初回に担当者へ伝えてください。通院予定が変わりやすいなら、欠席や振り替えの条件も確認しておくと安心です。
妊活や検査結果の詳しい話を、ほかの参加者の前でする必要はありません。個別に伝えたいことがある場合は、予約時に相談しておきましょう。
「妊活専門」「妊活向け」としている教室でも、それだけで医療上の安全性を判断せず、受診先の指示を共有することが重要です。
動画なら、初心者向けで動作の説明が分かりやすく、短い区切りで止められるものを選びましょう。最初から倒立や肩で立つ姿勢、無理に脚を組むポーズ、強い呼吸法に挑戦する必要はありません。
「妊娠率アップ」を約束したり、痛みを我慢するよう勧めたりする内容にも注意してください。
短い時間から、休む日もつくる
朝の着替えのあとや仕事を終えた時間など、自分が落ち着ける場面を選びます。最初から長時間しっかりと行おうとはせず、「今日は椅子の呼吸だけ」と短めの選択肢も用意して、気軽に取り組めるようにしましょう。
例えば、平日は椅子で呼吸を数回、時間のある休日は動作を一つ加えるなど、選べる形にしておくと続けやすいです。通院や仕事で疲れた日は休んだり、終えたあとの疲れが強ければ、次回の時間や動きを減らしてみてください。
パートナーと一緒にできる内容もありますが、相手に無理に参加を求める必要はありません。それぞれが気分を切り替えたり、リラックスできる方法で、お互いが休める時間をつくってみてください。
痛みや不調があるときは休む
ヨガの途中で鋭い痛みや強いめまい、息苦しさ、冷や汗などが出たときは、すぐに運動を中止してください。発熱や強い腹痛、いつもと違う出血がある日も、無理をせず休むことが大切です。
採卵前後にお腹の張りや痛みが強まるなど、治療に伴う体調の変化がある場合は、受診先へ連絡して指示を受けてください。ポーズを変えて続けようとせず、体調の確認を優先してください。
また、ホットヨガは高温の環境で行うため、脱水や熱中症のリスクがあります。汗をたくさんかくほど妊活によいわけではなく、無理に取り入れる必要はありません。
厚生労働省eJIMでも、妊娠中はホットヨガを避けるよう案内しています。妊娠が分かった場合は参加を控え、適した運動について担当医に相談してください。
ヨガをしても気持ちが晴れないからといって、取り組み方が悪いわけではありません。
眠れない、食欲が落ちる、仕事や家事が手につかないといった状態が続くときは、一人で抱え込まず、担当医や相談窓口に話してみましょう。体調や気持ちに合わせて、休むことも大切な選択です。
→妊活中の気分の落ち込みと相談先については、こちらの記事も参考にしてみてください。

まとめ
妊活中のヨガは、呼吸や体の感覚に目を向け、気分を切り替える時間として取り入れるとよいでしょう。
ヨガに妊娠の効果を求めすぎず、「終わったあと少し楽になった」と感じられることを大切にしてみてください。
体が硬くても、椅子での呼吸といった簡単な動きから始められます。胸を開く動きや猫のポーズは、楽に呼吸できて痛みのない範囲で試しましょう。
不妊治療中の方は、今の時期に行ってもよい動きを通院先へ確認します。動画を見せるなど、内容を具体的に伝えると相談しやすくなります。
教室や動画は、初心者向けで途中に休めるものを選び、通院日や疲れた日などは休むことも忘れないようにしておきましょう。
鋭い痛みやめまい、息苦しさが出たら中止し、強い症状が出たり、症状が続くときは医療機関へ相談してください。無理をせず、暮らしの中で心地よく過ごせる時間を探していきましょう。
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