妊活を始めるにあたって、喫煙者の方はタバコをどうすればいいのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
「いきなり禁煙するのはハードルが高い」「ストレス解消の手段だったから、やめる自信がない」と感じている方も少なくありません。
しかし、喫煙は女性の卵子や男性の精子の質だけでなく、妊娠のしやすさや、妊娠後の赤ちゃんの健康にも影響することがわかっています。
厚生労働省でも、喫煙は妊よう性(妊娠する力)の低下や、早産・低出生体重児などとの関連があることを示しています。
この記事では、タバコが妊活に与える影響をはじめ、受動喫煙や加熱式タバコの注意点、禁煙を無理なく続けるコツまで、順を追ってわかりやすく解説します。
タバコが妊活に与える影響
タバコは、妊活中はできるだけ避けたい嗜好品のひとつです。
喫煙による影響はひとつではなく、女性と男性では現れ方が異なり、妊娠後にもさまざまなリスクがあることが知られています。
どのような影響があるのかを具体的に知ることで、「今から禁煙を始めよう」という気持ちにつながる方も少なくありません。
ここでは、女性・男性・妊娠後の3つに分けて、喫煙による影響を順番に見ていきましょう。
女性の卵子・妊よう性への影響
タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、女性ホルモンの働きや卵子の質に影響すると考えられています。
厚生労働省でも、喫煙する女性は妊娠までにかかる期間が長くなりやすく、閉経が早まることで妊よう性(妊娠する力)が低下する可能性があると説明されています(e-ヘルスネット「女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響」)。
卵子は年齢とともに数が減っていくため、そこに喫煙の影響が重なると、妊活のスタート地点で不利になりやすいと考えられます。
また、喫煙によって血流が悪くなると、子宮や卵巣へ十分な酸素や栄養が届きにくくなることも心配されています。
冷えや月経リズムの乱れが気になる場合は、喫煙だけを原因と決めつけることはできませんが、生活習慣を見直すきっかけのひとつとして禁煙を考えてみることも大切です。
妊活を意識し始めたタイミングで禁煙に取り組むことは、将来の妊娠に向けた体づくりの第一歩につながります。
男性の精子への影響
男性の喫煙は、精子の濃度や運動率の低下につながる可能性があると指摘されています。
また、タバコの煙は体内の活性酸素を増やし、酸化ストレスによって精子のDNAが傷つきやすくなることも懸念されています。
精子は約3か月かけて新しく作られるため、禁煙を始めてすぐに変化が現れるわけではありません。しかし、早めに取り組むことで、数か月後により良い状態で妊活に臨める可能性が高まっていきます。
妊活は女性だけのものではなく、男性の生活習慣も妊娠しやすい体づくりに関わる大切な要素です。パートナーと一緒に生活習慣を見直しながら、無理のない範囲で禁煙に取り組んでいきましょう。
→男性側のお酒との付き合い方が気になる方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

生活習慣を少しずつ整えていくことが、夫婦で取り組む妊活の土台づくりにつながります。
妊娠後・赤ちゃんへの影響
妊娠したあとも喫煙を続けると、お母さんだけでなく、赤ちゃんの発育にも影響が及ぶことがわかっています。
厚生労働省は、妊婦の喫煙が流産・早産や低出生体重児の増加と関連すると説明しています(厚生労働省「妊娠中の喫煙への悪影響について」)。
これは、ニコチンや一酸化炭素によって胎盤を通じて赤ちゃんへ届く酸素や栄養が不足しやすくなり、発育に影響を及ぼすと考えられているためです。
そのため、妊娠が分かってから慌てて禁煙するのではなく、妊活の段階から体を整えておくことが大切になります。
これまで紹介した内容を、対象ごとに整理すると次のようになります。
喫煙が妊活・妊娠に関わるとされる主なポイント
| 対象 | 関わるとされる影響 |
|---|---|
| 女性 | 妊よう性の低下・妊娠までの期間が長くなる |
| 男性 | 精子の濃度や運動率の低下・酸化ストレス |
| 妊娠中 | 流産・早産・低出生体重との関連 |
| 受動喫煙 | 非喫煙者でも卵子の質や妊娠経過に影響しうる |
喫煙の影響は、妊活の一場面だけでなく、妊娠前から妊娠中まで幅広く関わることがわかります。
赤ちゃんを迎える準備のひとつとして、タバコとの付き合い方を見直してみましょう。
受動喫煙と加熱式タバコの注意点
タバコの影響は、喫煙している本人だけの問題ではありません。
自分は吸っていなくても、周囲の煙を吸い込む受動喫煙や、加熱式・電子タバコによって影響を受ける可能性があります。
妊活中は本人だけでなく、パートナーや家族も含めて生活環境を見直すことが大切です。
ここでは、受動喫煙や加熱式・電子タバコについて知っておきたいポイントを整理します。
副流煙は有害物質が多い
タバコの煙には、喫煙者が吸い込む「主流煙」と、火のついた先から立ちのぼる「副流煙」があります。
副流煙には、主流煙よりも多くの有害物質が含まれるものがあるとされ、喫煙者だけでなく、周囲にいる人もその影響を受ける可能性があります。
そのため、自分はタバコを吸っていなくても、家庭や職場などで煙を吸い続ける環境は、妊活にとって望ましいとはいえません。
また、窓を開けて換気をしたり、空気清浄機を使ったりしても、有害物質を完全に取り除くことは難しいと考えられています。
まずは、副流煙の影響を正しく知ることが、妊活しやすい環境づくりの第一歩になります。
家庭やパートナーの協力が鍵になる
受動喫煙を減らすには、本人の努力だけでなく、一緒に暮らす家族やパートナーの理解と協力が欠かせません。
とくにパートナーが喫煙者の場合は、受動喫煙による影響に加え、喫煙そのものが精子の質に影響する可能性もあるため、夫婦で足並みをそろえて禁煙に取り組むことが重要です。
また、禁煙をお願いするときは相手を責めるのではなく、「二人で元気な赤ちゃんを迎えるために協力してほしい」という前向きな伝え方を意識すると、お互いに取り組みやすくなるでしょう。
夫婦で同じ目標を共有し、できることから少しずつ生活習慣を見直していくことが、妊活を続けるうえでの心強い支えになります。
加熱式・電子タバコも安心はできない
「加熱式タバコや電子タバコなら、紙タバコより安心なのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、加熱式タバコにもニコチンなどの有害物質は含まれており、妊活への影響がないとは言い切れません。
また、比較的新しい製品は長期的な研究データが十分ではなく、安全性についてもまだわかっていない部分があります。
そのため、「害が少ないだろうから」と紙タバコから切り替えるだけでは、根本的な解決にはつながらない可能性があります。
妊活や妊娠という大切な時期だからこそ、「どのタバコなら安全か」ではなく、「禁煙を目指す」という視点で考えることが大切です。
禁煙を始めるタイミングと続けるコツ
「禁煙はいつ始めればいいの?」「妊娠してからでも間に合うのかな」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
禁煙は早く始めるほどメリットが大きいとされていますが、思い立ったその日から始めることにも十分意味があります。
ここでは、禁煙を始めるタイミングの目安と、無理なく続けるための工夫をご紹介します。
最初から完璧を目指すのではなく、自分に合った方法で今日から少しずつ禁煙に向けて取り組んでいきましょう。
理想は妊娠の3か月以上前
卵子や精子は、ある程度の時間をかけて育っていくとされています。
そのため、タバコの影響をできるだけ受けにくい状態で妊娠を迎えるには、妊娠を希望する3か月以上前から禁煙を始めるのが理想的と考えられています。
一方で、妊娠がわかってから禁煙を始めても、赤ちゃんへの影響を少しでも減らすことにつながると考えられています。決して「もう遅い」と考える必要はありません。
また、長年喫煙を続けてきた方は、禁煙に慣れるまで時間がかかることもあります。だからこそ、妊活を意識し始めたタイミングで少しずつ準備を始めることで、無理なく続けやすくなるでしょう。
妊活中でも妊娠後でも、禁煙を始めるのに遅すぎることはありません。思い立ったその日から一歩踏み出すことが大切です。
禁煙外来や補助薬を活用する
自力での禁煙に何度も挫折してきた方は、専門家の力を借りるのがおすすめです。
禁煙外来では、医師によるカウンセリングや禁煙補助薬を活用しながら、自分に合った方法で禁煙を進められます。
一定の条件を満たせば健康保険が適用される場合もあるため、費用を抑えながら計画的に取り組みたい方は、一度相談してみるとよいでしょう。
また、薬局やドラッグストアなどで購入できる禁煙補助薬(第1類医薬品)を活用する方法もあります。ニコチンによる離脱症状をやわらげることで、禁煙による負担が軽くなり、続けやすくなることもあります。
禁煙は一度で成功する人ばかりではなく、何度か挑戦を重ねながら成功するケースも少なくありません。
思うようにいかなかったとしても自分を責めすぎず、医師とも相談しながら、「次はどうすれば続けられるか」を考えて取り組むことが大切です。
一人で抱え込まず、利用できるサポートを上手に活用していきましょう。
別のストレス解消法を用意する
タバコをストレス発散の手段にしてきた方は、代わりになる方法を準備しておくと禁煙を続けやすくなるでしょう。
深呼吸や散歩、軽い運動、簡単につまめる食べ物や飲み物を楽しむなど、気分転換につながる習慣をいくつか用意しておくのがおすすめです。
また、「吸いたくなったら散歩をする」「食後は温かいお茶を飲む」など、吸いたくなる場面での行動をあらかじめ決めておくと、気持ちを切り替えやすくなります。
→妊活中のストレスケアについては、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

パートナーと一緒に取り組めば、お互いに支え合いながら禁煙を続けやすくなります。家庭から煙を減らすことは、これから赤ちゃんを迎える環境づくりにもつながります。
まとめ
タバコは卵子や精子、そして妊娠後の赤ちゃんの発育まで、妊活のさまざまな段階に影響するとされています。
厚生労働省でも、喫煙は妊よう性の低下や早産・低出生体重との関連があることが示されています。
禁煙は早く始めるほど効果が期待でき、理想は妊娠の3か月以上前から取り組むことです。
とはいえ、「もう遅い」と考える必要はありません。気づいたときから始めることが大切です。
禁煙外来や補助薬も活用しながら、タバコ以外のストレス解消法を上手に取り入れ、無理のない方法で続けていきましょう。
また、ご自身だけでなく、受動喫煙や加熱式・電子タバコにも目を向け、家庭全体で煙を減らすことも大切です。
赤ちゃんを迎える環境づくりのためにも、今日からできることを一つずつ始めて、煙のない生活を目指していきましょう。
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