妊活を続けるうちに、気分の落ち込みが以前より長引いていると感じることはないでしょうか。
「もしかしてこれは妊活うつなのではないか」と、検索した経験がある方もいるかもしれません。
妊活中は、結果が出ない期間が続いたり、通院で生活のペースが変わったりと、心の負担が重なりやすい時期です。
落ち込みやすくなるのは、あなたの心が弱いからではありません。一方で、つらい状態が長く続く場合は、早めに専門家へ相談したほうがよいこともあります。
この記事では、妊活中に気分が落ち込みやすくなる理由や、「妊活うつ」という言葉との付き合い方、相談のタイミング、日常でできる対処法を解説します。
今のつらさを一人で抱え込まず、これからの過ごし方を考えるための参考にしてみてください。
妊活中に気分が落ち込みやすくなる理由
妊活を続けているうちに、以前は楽しめていたことが楽しく感じられなくなったり、気持ちが沈みやすくなったりすることがあります。
そうした変化に自分で気づくと、「自分は大丈夫なのかな」と、かえって不安になる方もいるかもしれません。
妊活中に気分が落ち込みやすくなるのは、決して気の持ちようだけが原因とは限りません。まずは、気持ちが沈みやすくなる背景を3つの側面から見ていきましょう。
結果が出ない期間が続くことの負担
妊活の大きな特徴は、積み重ねた努力と結果が必ずしも結びつくとは限らないことです。
生活を整え、通院もきちんと続けているのに、毎月同じ結果を受け取ることになる期間もあります。しかも、その結果は自分の努力だけではコントロールできない要因にも左右されます。
期待して待ち、また落ち込む。この繰り返しが続くと、気づかないうちに心の負担が積み重なっていきます。「自分のせいではないか」と考えてしまうこともあるでしょう。
頑張っても結果につながらない状態が続くことは、心に大きな負担になります。
落ち込むこと自体は自然なことであり、責める必要はありません。努力が足りないから気持ちが沈むわけでもないことを、まず知っておきましょう。
通院や治療が生活のペースを変える
不妊治療が始まると、通院や検査の予定を軸にして生活を組み立てることが多くなります。
仕事の調整、急に決まる受診、費用の管理といった負担が、同時にのしかかることも珍しくありません。
先の予定が読めない状態が続けば、友人との約束や趣味の時間はどうしても後回しになりがちです。気分転換に使えていた時間が減っていくと、落ち込んだ気持ちを立て直すための機会そのものが少なくなっていきます。
以前は自然にできていた気分転換ができなくなっているなら、それも心の負担が大きくなっているサインのひとつです。まずは、今の生活のなかで何が負担になっているのかを整理してみるとよいでしょう。
また、治療で使う薬の影響によって、体調や気分に変化が出る場合もあります。気になる変化があるときは、自己判断で服薬や通院をやめてしまわず、必ず主治医に相談してください。
周囲の妊娠報告を素直に喜べないとき
友人や職場の同僚から妊娠報告を受けたとき、素直に喜べない自分に気づき、あとから落ち込んでしまうことがあります。
祝いたい気持ちと、つらさやうらやましさという気持ちは、同時に生じることがあります。どちらか一方だけが本当の気持ちだと決めつける必要はありません。
「おめでとう」と伝えたあとで気持ちが沈んだとしても、そのことで自分を責める必要はありません。
報告の場から早めに離れたり、SNSを見る時間を減らしたりするなど、自分への負担を軽くする工夫を取り入れてもよいでしょう。
喜べなかった自分を責めることが、落ち込みをさらに深くしてしまいます。
まずは、そう感じてしまうだけの負担が自分にかかっているのだと受け止めてみましょう。人の妊娠を喜べない=自分が嫌な人間である、ということにはなりません。
「妊活うつかも」と感じたときに知っておきたいこと
気分の落ち込みが長く続くと、「これは妊活うつなのではないか」と気になって、検索してしまう方もいるかもしれません。
ただ、この言葉については、先に整理しておきたいことがあります。言葉の位置づけを正しく知ることで、必要以上に不安を大きくせずに済むこともあります。
ここでは、「妊活うつ」という言葉の意味や、気分の落ち込みで見られやすい変化、自己判断で決めつけないことの大切さについて確認していきましょう。
「妊活うつ」は正式な病名ではない
「妊活うつ」は、妊活中に起こる気分の落ち込みなどを指して、一般に使われている言い方です。
医学的に定められた診断名ではなく、明確な診断基準があるわけでもありません。そのため、「自分は妊活うつに当てはまるのか」と考えても、それだけで判断することはできません。
また、「妊活うつというほどではないから大丈夫」と考えて、つらさを我慢したり、相談を先延ばしにしたりする必要もありません。
一方で、うつ病は医療の対象となる病気として定義されています。
厚生労働省委託事業のポータルサイトこころの耳「うつ病」では、うつ病について、抑うつ気分や興味・関心の欠如、不安、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患と説明されています。
つまり、重要なのは、自分が「妊活うつ」という言葉に当てはまるかどうかではなく、つらさの強さや続いている期間、それらが生活に影響しているか、ということです。
気分の落ち込みで見られやすい変化
気持ちの変化は自分では気づきにくく、眠りや食欲といった体の変化のほうが先に表れることもあります。
寝つけない日が続く、朝早く目が覚めてしまうといった睡眠の変化はその一つです。食欲が落ちたり、反対に急に増えたりすることもあります。
また、これまで楽しめていたことに関心が持てなくなる、外出や人と会うことが億劫になるなど、日常の過ごし方に変化が出る場合もあります。
思い当たる項目が多いかどうかで、自分の状態の深刻さを測る必要はありません。
気になる変化が続いているなら、つらさが強くなる前でも医師や専門家に相談して構いません。その際は、つらさの強さや続いている期間、睡眠・食欲の変化、生活への影響などを伝えると、自分の状態を共有しやすくなります。
自分で診断を下そうとしない
インターネットで見かけるセルフチェックは、手軽に試せる一方で、出てきた結果を重く受け止めてしまうことがあります。
しかし、こうしたチェックは医師による診断の代わりにはなりません。「まだ大丈夫」という結果が出たことで、必要な受診が遅れてしまうこともあります。逆に、重い結果が出て、不安が必要以上に強くなる場合もあります。
また、同じような症状があっても、その原因や必要な対応は人によって異なります。セルフチェックの結果だけで、自分の状態を決めつけないようにしましょう。
判断は医師に任せ、あなたは困っている状態や気になっている変化を、そのまま伝えることに集中してください。受診するか迷う場合でも、まずは相談してみることで、今後の対応を整理しやすくなります。
→妊活中の気持ちの整理の仕方については、こちらの記事もチェックしてみてください。

できる範囲の工夫と、専門家に任せる部分を分けて考えることで、一人で抱え込まずに対処しやすくなります。
相談のタイミングと日常でできる対処法
「このくらいのことで相談してもいいのだろうか」と迷っているうちに、時間だけが過ぎてしまうことがあります。
気になる変化があるときに相談してよいと知っておくだけでも、ひとりで抱え込まずに済みます。
ここでは、受診や相談を考えるタイミング、実際に利用できる相談先、そしてつらい時期の過ごし方を順に見ていきます。
今の状態に合った方法を知り、無理なく対処していくための参考にしてください。
相談してよい目安の考え方
気分の落ち込みや興味の低下などがほぼ毎日、二週間ほど続いている場合、相談を考える目安の一つとなります。
ただし、この二週間という期間は、相談してよいかどうかを分ける線引きではなく、迷ったときの判断の目安に過ぎません。つらいと感じていること自体が、専門家に相談する十分な理由になります。
眠れない日が続いている、食事や水分がとれない、仕事や家事が手につかないなど、症状が強かったり生活に支障が出ていたりする場合は、期間にかかわらず早めに医療機関へ相談してください。
こうした気持ちがある場合は、妊活の悩みだけに限定せず、心の状態についても医療機関に伝えることが大切です。
受診先に迷う場合は、まずかかりつけの婦人科や不妊治療の主治医に、今の状態を伝える方法もあります。必要に応じて、心療内科や精神科などにつないでもらえることもあります。
どこに相談できるのか
気持ちのつらさを相談できる先は、医療機関だけではありません。
各都道府県などが実施している性と健康の相談センター事業では、不妊症や不育症をはじめ、妊娠・出産にまつわる悩みの相談支援が行われています。
地域によっては、妊活や治療の事情を踏まえて話を聞いてもらえる窓口もあります。
気持ちのつらさそのものについては、厚生労働省のまもろうよ こころに、電話やSNSで利用できる相談窓口が、民間団体のものも含めてまとめられています。
24時間対応の窓口も案内されているため、夜中につらくなったときの選択肢にもなります。相談内容や受付時間は窓口ごとに異なるため、落ち着いているうちに公式の窓口情報を確認しておくと安心です。
連絡先をスマートフォンに登録しておけば、つらくなったときに窓口を探す手間も減らせます。
「医療機関に行くほどではないかも」と感じる段階でも、まず誰かに話してみることから始めるのもいいでしょう。
つらい時期の過ごし方
気持ちが落ちているときに、無理をして前向きになろうとする必要はありません。
休めるときに休み、食べやすいものや水分をとるなど、できる範囲で過ごしてください。気晴らしの予定を詰め込む必要も、逆に何もしないと決めてしまう必要もありません。
その日の体調や気分に合わせて、できそうなことだけを選んでいけば十分です。無理をして元気を取り戻そうとするよりも、まずは今の状態を悪化させないことを優先しましょう。
眠れない、食べられないといった状態が続いている場合は、セルフケアだけで抱え込まず、安心して話せる関係であれば、パートナーや親、友人など信頼できる人に今の状態を伝えておくことも助けになります。
解決策を求めるのではなく、「今の状態を知っておいてほしい」と伝えるだけでも構いません。身近な人には話しにくい場合は、相談窓口を利用するのもおすすめです。
→つらい気持ちを和らげる方法については、こちらの記事もチェックしてみてください。

つらい状態が続くときは、一人で抱え込まず、利用できる相談先や医療機関につながっておきましょう。
まとめ
妊活中に気分が落ち込みやすくなるのは、努力と結果が結びつきにくい状況が続くこと、通院で生活のペースが変わること、周囲の妊娠報告に接する機会があることなど、いくつもの負担が重なるためです。
「妊活うつ」という言い方は広く使われていますが、医学的な診断名ではありません。そのため、言葉に当てはまるかどうかを自分で判定しようとするより、つらさの強さや続いている期間、生活への影響を手がかりにしましょう。
気分の落ち込みがほぼ毎日、2週間ほど続くことは相談を考える目安の一つですが、2週間は様子を見るべき、ということではありません。
眠れない、食べられない、仕事や家事が手につかないといった状態がある場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
相談先としては、医療機関の他に、性と健康の相談センター事業の窓口や、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に掲載された窓口などがあります。
消えてしまいたい、自分を傷つけたいという気持ちがあるときは、早めに周囲や専門家へ助けを求めてください。無理をしないことは、今のあなたの心と体を守るために大切です。
また、妊活や治療の進め方に迷ったときも、一人で抱え込む必要はありません。通院や服薬を自己判断でやめず、主治医に相談しながら、今の自分に合った方法を考えていきましょう。
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