不妊治療を受けながら仕事を続けるとき、「職場に伝えた方がいいのかな?」「でも、どうやって話したらいいんだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
急な通院や体調不良で仕事を休むこともあるでしょうし、やはり周りに迷惑を掛けてしまわないか、と気になってしまいますよね。
正しい伝え方を知ることで、職場の理解を得ながら安心して妊活を続けられるようになるでしょう。不妊治療連絡カードの活用方法や、伝えるタイミング、注意点などもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
不妊治療を職場に伝えるべき?伝えないべき?
不妊治療を職場に伝えるかどうかは、とても悩ましい問題です。
プライバシーに関わることなので、無理に伝える必要はありませんが、伝えることでサポートを受けられる場合もあります。
自分の状況や職場の環境を考えながら、どうするか決めていきましょう。
職場に伝えるメリットは?
職場に不妊治療のことを伝えた場合、休暇や勤務時間の調整が比較的しやすくなる、というのがメリットです。急な通院が必要になったときでも、上司や同僚の理解があれば仕事の予定を調整しやすくなるでしょう。
会社によっては不妊治療のための特別休暇や、フレックスタイム、テレワークなどの制度が使える場合もあります。
職場によっては、人事担当者や産業保健スタッフに相談することもでき、精神的な負担も軽くなるでしょう。
一人で抱え込まずに、周りのサポートを受けながら妊活を進められるのが大きなメリットです。
職場に伝えないのはあり?
厚生労働省の調査によると、不妊治療を受けている人のうち約半数が職場に一切伝えていないそうです。
伝えない理由としては、「伝えなくても支障がないから」という人が最も多いのですが、「周囲に気遣いをしてほしくない」「治療がうまくいかなかったときに居づらい」と感じる人もたくさんいます。
不妊治療はプライバシーに関わることなので、伝えるかどうかは本人の自由です。
有給休暇を使って通院できる場合や、仕事への影響が少ない場合は、無理に伝える必要はありません。医師とも相談をして無理をせず妊活を進めていきましょう。
伝えるかどうかの判断基準は?
不妊治療を職場に伝えるかどうかは、やはり悩むものです。どうするか決めるときの判断ポイントをいくつかまとめたので、参考にしてみてください。
| 判断ポイント | 内容 |
|---|---|
| 通院の頻度 | 月に何回も通院が必要な場合は、伝えた方が調整しやすい |
| 仕事への影響 | 急な休みや遅刻・早退が必要になる場合は、事前に伝えておくと安心 |
| 会社の制度 | 不妊治療のための休暇制度がある場合は使える |
| 職場の雰囲気 | 理解のある職場なら伝えやすい |
仕事をしながら不妊治療をする場合、一番ネックになるのが通院の頻度だと思います。頻繁に通院が必要で仕事の調整が難しい場合は、伝えることを検討してみると良いでしょう。
逆に、有給休暇だけで対応できる場合は、無理に伝える必要はありません。
職場に伝えるときのベストなタイミングは?
不妊治療を職場に伝える場合、良いタイミングはあるのでしょうか。
状況によって早めに伝えた方が良い場合、様子を見て伝えるタイミングを考えた方が良い場合もあるかもしれません。
自分の状況に合わせて、無理のないタイミングを選んでくださいね。
治療を始める前に伝える場合
治療を始める前に伝えておくと、最初から職場のサポートを受けられる可能性があります。通院のスケジュールが立てやすくなったり、急な休みにも対応してもらいやすくなるでしょう。
また、会社の制度を利用する場合は、事前に伝えておく必要があります。上司や人事担当者に「これから不妊治療を始める予定です」と相談しておくことで、理解を得やすくなります。
ただし、治療がうまくいかなかった場合のことを考えると、伝えるのをためらう気持ちも分かります。
治療が本格的になってから伝える場合
タイミング法(排卵日に合わせて性交すること)から始めて、体外受精(卵子と精子を体の外で受精させて子宮に戻すこと)などの高度な治療に進むときに伝える人も多いです。
通院の回数が増えてきたタイミングで伝えると、自然な流れで話せるでしょう。「最近、病院に通うことが多くなりまして」という形で切り出すこともできます。
治療の見通しがある程度分かってから伝えると、職場側も対応しやすくなります。
休みが必要になったときに伝える場合
通院のために休みが必要になったタイミングで伝えるのも一つの方法です。
必要に応じて伝えることで、自分のプライバシーを守りつつ、周りからも最低限の理解を得られるでしょう。
「通院のため、お休みをいただきたいのですが」と具体的な理由を添えて相談することもできます。
ただし、急な休みが続くと職場に迷惑をかけてしまうこともあるので、早めに伝えておく方が安心かもしれません。
職場に伝えるときの具体的な方法は?
いざ職場に伝えようと思っても、「どうやって話せばいいの?」と不安になりますよね。
誰に、どんな風に伝えるのが良いのか、具体的な方法を知っておくと安心です。自分に合った伝え方を見つけていきましょう。
まずは誰に伝えるべき?
最初に伝える相手は、直属の上司が基本です。
上司に相談してから、必要に応じて他の職場のスタッフや人事担当者、産業保健スタッフにも伝えるという流れが良いでしょう。
上司が女性の場合は話しやすいかもしれませんが、男性の上司でも理解してくれる人は多いです。また、人事担当者に直接相談することも可能です。
同僚に伝えるかどうかは、基本的に自分で判断して決めて問題ありません。
どんな風に伝えたらいい?
伝えるときは、シンプルに事実を伝えるだけで大丈夫です。
「実は不妊治療を受けていまして、通院のために休みをいただくことがあると思います」という形で十分でしょう。
治療の詳しい内容まで話す必要はなく、必要な配慮だけを伝えることが大切です。以下のような伝え方も参考にしてみてください。
| 伝え方の例 | ポイント |
|---|---|
| 「不妊治療を始めることになりました」 | シンプルで分かりやすい |
| 「月に数回、通院が必要になります」 | 具体的な頻度を伝える |
| 「急な休みをいただくことがあるかもしれません」 | 職場への影響を説明 |
| 「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」 | 感謝の気持ちを伝える |
メールや書面で伝えることもできますが、できれば対面で話す方が誤解が少ないでしょう。
伝えた後の対応で気をつけることは?
職場に伝えた後は、定期的に状況を報告することが大切です。
休みを取るときは早めに連絡し、周りへの感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。業務の引き継ぎなどをしっかり行い、仕事に影響が出ないよう配慮することも重要です。
治療の進み具合や、今後の予定についても、必要に応じて上司に相談しておくと安心でしょう。
自分一人で抱え込まず、困ったことがあれば相談しながら進めていけるといいですね。
不妊治療連絡カードって何?どう使うの?
不妊治療連絡カードというものがあるのを知っていますか?
これは職場に不妊治療のことを伝えたり、会社の制度を使ったりするときに便利なツールです。厚生労働省が作っているもので、誰でも無料で使えるので、よければ使ってみてくださいね。
不妊治療連絡カードとは?
不妊治療連絡カードは、厚生労働省が作った、治療を受けている人と職場をつなぐためのカードです。
主治医が記入した内容を会社に提出することで、治療の状況を正確に伝えられる仕組みになっています。カードには、治療の実施時期、通院の頻度、配慮が必要なことなどを書いてもらえます。
口頭で自ら説明するよりも、医師が書いた書類を提出する方が誤解なども減り、職場も理解しやすいでしょう。
不妊治療に関する会社の制度を使うときの証明書としても使えるので、実はとても便利なものです。
カードの使い方は?
使い方はとてもシンプルです。
まず、治療を受けている病院で主治医に不妊治療連絡カードへの記入をお願いします。あとは医師が記入したカードを、職場の上司や人事担当者に提出するだけです。
カードの使い方の流れは以下のようになります。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. カードを入手 | 厚生労働省のホームページからダウンロードして印刷 |
| 2. 病院で記入 | 主治医に治療の状況を記入してもらう |
| 3. 職場に提出 | 上司や人事担当者にカードを渡す |
| 4. 制度の利用 | 会社の休暇制度などを使えるようになる |
カードを提出することで、会社側も対応がしやすくなります。
カードを使うメリットは?
不妊治療連絡カードを使う一番のメリットは、不妊治療について医師からの正式な情報を職場に伝えられることです。
自分では理解しているつもりでも正確に伝えるのは難しかったりしますし、医師が書いた内容であれば職場も安心しやすいでしょう。
また、会社の休暇制度や両立支援制度を使うときの証明書としても使えます。
プライバシーを守りながら、必要な情報だけを伝えられるのも大きなメリットです。
困ったときは、ぜひカードの活用を検討してみてくださいね。
職場に伝えるときの注意点は?
職場に不妊治療のことを伝えるときに、いくつか注意したいポイントがあります。
プライバシーの保護や、伝える範囲など、気をつけることを知っておきましょう。安心して伝えられるように、準備しておくことが大切です。
プライバシーはどう守る?
不妊治療はプライバシーに関わることなので、伝える範囲を最初に決めておくことが大切です。必要のない人に知られてしまうと、職場に居づらくなってしまうこともあるでしょう。
上司や人事担当者に伝える際、「この情報は他の人に伝えないでください」とはっきり伝えられる権利があります。
厚生労働省のハンドブックにも、本人の意思に反して職場全体に知れ渡ってしまうことがないよう、プライバシーの保護に十分配慮する必要があると書かれています。
自分が安心して働ける環境を作るために、遠慮せずに希望を伝えましょう。
ハラスメントを受けたらどうする?
不妊治療を理由に、嫌がらせや不利益な扱いを受けることは絶対にあってはいけません。
もしそういった扱いを受けたら、一人で悩まず、人事担当者や労働局に相談してください。
「いつ赤ちゃんできるの?」「まだなの?」といった言葉も、本人にとっては辛いものです。軽い気持ち、冗談のつもりで、直接的に傷つく言葉を言われることもあるかもしれません。
職場の相談窓口や、都道府県労働局の相談窓口も利用できます。
伝えた後に後悔しないためには?
伝えた後に「やっぱり言わなければよかった」と後悔しないように、事前によく考えておくことが大切です。
伝える内容や範囲を整理してから、落ち着いて話すようにしましょう。
パートナーとも相談して、どこまで伝えるか決めておくと安心です。治療がうまくいかなかった場合のことも考えて、無理のない範囲で伝えることをおすすめします。
自分にとって一番良い方法を見つけていきましょう。
よくある質問
不妊治療を職場に伝えないと制度は使えないの?
会社の不妊治療のための休暇制度や支援制度を使う場合は、職場に伝える必要があります。
ただし、一般的な有給休暇を使って通院する場合は、理由を詳しく説明する必要はありません。「私用のため」として休暇を取ることもできますので、無理に伝えなくても大丈夫です。
会社にどんな制度があるのか、まずは就業規則を確認してみましょう。
男性も職場に伝えた方がいいの?
男性も通院が必要な場合や、パートナーの通院に付き添う場合は、職場に伝えることを検討してみてください。
不妊治療は夫婦で取り組むものなので、男性も休暇を取りやすい環境が大切です。会社の制度によっては、男性も不妊治療のための休暇を取れることがあります。
パートナーと協力しながら、二人で妊活を進めていけるといいですね。
治療がうまくいかなかったとき、職場で気まずくならない?
治療がうまくいかなかったときのことを心配する気持ちは、よく分かります。しかし、理解のある職場なら、そういったときこそ温かくサポートしてくれるはずです。
もし気まずく感じたら、「今は少し休憩します」と伝えるだけでも大丈夫です。
治療の結果について、詳しく報告する必要はありませんので、自分のペースで進めてくださいね。
まとめ
不妊治療を職場に伝えるかどうかは、本人の判断で決めて大丈夫です。
通院の頻度や仕事への影響を考えて、必要に応じて伝えることを検討しましょう。伝えるときは、直属の上司や人事担当者にシンプルに事実を伝えるだけで十分です。
不妊治療連絡カードを活用すると、スムーズに職場の理解とサポートを得られるでしょう。
一人で抱え込まず、パートナーや信頼できる人に相談しながら、自分にとってベストな方法を見つけていきましょう。職場の理解を得ながら、安心して妊活と仕事を両立できる環境を作っていけるといいですね。
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