妊娠を望んでいるけれど、なかなか授からない日々が続くと、「不妊治療を始めるべきか」と考え始める時期がやってきます。不妊治療は特別なものではなく、妊活の選択肢の一つとして多くの人が選んでいます。実際どんな治療があって、費用はどれくらいかかるのか、心の準備はどうすればいいのか、疑問や不安は尽きません。
この記事では、不妊治療の基本から費用相場、心の準備までを詳しくご紹介します。治療を検討している方はもちろん、すでに治療を始めている方にも役立つ情報をお届けします。
不妊治療は妊活に含まれるの?
妊活と聞くと、基礎体温をつけたり、生活習慣を見直したりといった自分自身でできることをイメージする方が多いかもしれません。でも実は、不妊治療も立派な妊活の一部なんです。
そもそも妊活ってどこからどこまで?
妊活とは妊娠を望むためのあらゆる活動を指します。毎日の基礎体温記録から始まり、食生活の改善、適度な運動など、自分でできるセルフケアが妊活の第一歩です。
それでも妊娠しにくい場合は、医療機関での検査や治療も妊活の範囲に含まれます。実際、日本では約5組に1組のカップルが不妊治療を受けており、珍しいことではありません。
不妊治療が必要になるのはどんな時?
一般的には、1年以上妊娠を望んで性生活を持っているのに妊娠しない場合、不妊治療の検討が始まります。
ただし、女性の年齢が35歳以上の場合や、月経不順がある場合、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患がある場合は、半年程度で治療を始めるケースも少なくありません。
また、検査で妊娠しにくい原因が見つかった場合や、年齢的なリスクを考慮して早めに治療を始める人も増えています。
不妊治療を始める前に知っておきたいこと
不妊治療を始める前に、治療の進め方や選択肢は人それぞれ異なることを理解しておくことが大切です。原因や年齢、カップルの考え方によって、最適な治療法は変わってきます。
治療には身体的な負担だけでなく、精神的・経済的な負担も伴います。そのため、パートナーとよく話し合い、お互いが納得した上で進めることが重要です。
不妊治療にはどんな種類があるの?
不妊治療には様々な種類があり、症状や原因によって選択肢が変わってきます。ここでは代表的な治療法をご紹介します。
タイミング法や人工授精ってどんな治療?
タイミング法は、排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる方法です。自分でも基礎体温やLHチェッカーで排卵日を予測できますが、医療機関では超音波検査やホルモン検査を使って、より正確に排卵日を予測します。
人工授精は、男性の精液を医療機関で処理し、女性の子宮に直接注入する方法です。精子の数や運動率が低い場合、頸管粘液の問題がある場合などに行われます。
- タイミング法のメリット:体への負担が少なく、自然に近い形で妊娠を目指せる
- 人工授精のメリット:精子と卵子が出会う確率を高められる
体外受精や顕微授精はどう違うの?
体外受精は、排卵誘発剤で卵子を複数育てて採卵し、体外で精子と受精させます。受精卵は培養後、子宮に戻します。卵管の問題や原因不明の不妊、人工授精で妊娠しなかった場合などに行われます。
顕微授精は、体外受精で受精しない場合や精子が極端に少ない場合に、顕微鏡下で1つの精子を卵子に直接注入する方法です。精子の状態が良くない場合に効果的です。
これらの治療は「生殖補助医療」と呼ばれ、通院回数や身体的負担が大きくなります。ホルモン注射や採卵手術などが必要になるため、心身ともに準備が必要です。
男性側の治療もあるの?
不妊の原因は女性側だけでなく、男性側にある場合も少なくありません。男性不妊の治療には、精索静脈瘤(睾丸周辺の静脈が膨張する病気)の手術や、無精子症の場合の精子回収手術などがあります。
精子の数や運動率を上げる確立した治療法は少ないですが、原因に応じて手術や顕微授精を検討します。
不妊治療の費用相場や保険適用はどうなってる?
不妊治療を考える上で気になるのが費用面ですよね。2022年4月からは保険適用の範囲が広がり、経済的な負担が軽減されています。
治療ごとの費用目安はどれくらい?
タイミング法や人工授精は、保険適用で自己負担3割となり、1回数千円~1万円程度が目安です。体外受精や顕微授精は、保険適用前は1回50万円以上かかることもありましたが、保険適用後は15万円前後まで大幅に軽減されています。
治療法 | 保険適用前の費用(自己負担) | 保険適用後の費用(3割負担の場合) |
---|---|---|
タイミング法 | 1回5,000円~2万円程度 | 1回数千円程度 |
人工授精 | 1回2万円~3万円程度 | 1回5,000円~1万円程度 |
体外受精 | 1回30万円~40万円程度 | 1回10万円~15万円程度 |
顕微授精 | 1回40万円~50万円程度 | 1回15万円前後 |
ただし、治療内容や通院回数、薬の種類によって費用は大きく変動します。事前に医療機関で見積もりを出してもらうと安心です。
保険適用の条件や回数制限は?
2022年4月から不妊治療の保険適用範囲が拡大し、体外受精・顕微授精も保険適用の対象になりました。これにより、経済的な理由で治療を諦めていた方も治療を受けやすくなっています。
ただし、保険適用には条件があります。体外受精・顕微授精は、治療開始時に女性が43歳未満であることが条件です。また、回数制限もあり、40歳未満は1子につき6回まで、40歳以上43歳未満は3回までとなっています。
医療費控除や助成制度も使えるの?
不妊治療にかかった費用は、医療費控除の対象となります。1年間の医療費が10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)を超えた場合、確定申告で医療費控除が受けられます。不妊治療の費用だけでなく、通院のための交通費なども対象となります。
助成金を受け取った場合は、その分を差し引いた金額が医療費控除の対象となります。確定申告の際には、領収書をきちんと保管しておくことが大切です。
- 医療費控除の対象:診察料、検査費用、薬代、通院交通費など
- 申告の際の注意点:領収書は必ず保管、助成金額は差し引いて計算
また、自治体によっては独自の助成制度がある場合もあるので、住んでいる地域の制度も確認してみましょう。
心の準備とパートナーへの伝え方はどうしたらいい?
不妊治療は身体だけでなく、心にも大きな負担がかかります。長期間にわたる治療を乗り切るためには、心のケアやパートナーとの関係づくりも重要です。
不妊治療で心が疲れたときはどうする?
不妊治療は心身ともに負担が大きく、治療のストレスや将来への不安を感じる人が多いです。治療が長引くにつれて、「いつ終わるのか」「本当に妊娠できるのか」という不安が募ることもあります。
気持ちが疲れたときは、無理に頑張りすぎず、時には治療を休むことも選択肢の一つです。カウンセリングを受けたり、リラクゼーション法を取り入れたりすることで、心の負担を軽減できることもあります。
パートナーにどう伝えればいい?
妊活や不妊治療のスタート時点で、まずは夫婦でしっかり話し合うのが一番おすすめです。お互いの考えや希望を共有することで、後々のすれ違いを防ぐことができます。
排卵日の関係で性生活のタイミングを合わせる必要がある場合も、「排卵日だから」と義務的に伝えるよりも、「今日はチャンスだよ」「一緒に頑張りたい」など、前向きな言葉で伝えるとお互いの負担が減るでしょう。
アプリなどを活用して予定や気持ちを共有するのも、直接伝えにくい場合に有効です。お互いに無理なく続けられる方法を見つけましょう。
夫婦で支え合うためのコツは?
治療や妊活のルールを夫婦で決めておくと、どちらか一方に負担が偏らずに済みます。例えば、「治療費はいくらまで」「治療はどこまで行うか」など、事前に話し合っておくことで、お互いの認識のずれを防げます。
夫婦で一緒に妊活や治療に取り組むことで、絆が深まるケースも多いです。困難を乗り越える過程で、お互いの新たな一面を発見し、より強い信頼関係を築けることもあります。
まとめ
不妊治療は妊活の一環として、多くの人が選択している道です。タイミング法や人工授精などの一般不妊治療から、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療まで、症状や原因に応じた治療法があります。
2022年4月からは不妊治療の保険適用範囲が拡大され、経済的な負担が大幅に軽減されました。ただし、年齢や回数に制限があるため、早めに医療機関に相談することが大切です。
不妊治療は心身ともに負担が大きいですが、パートナーと支え合い、時には専門家のサポートを受けながら、無理なく続けていくことが重要です。Fertility Journey(ふぇるじゃに)は妊活に取り組む方のためのサイトです。不妊治療に関する記事もたくさんあります。ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。